コラム  グローバルエコノミー  2020.04.22

流動人口ビッグデータによる地域住民の自粛率の見える化 - 感染者数と自粛の関係 -

概要

 中心市街地やターミナル駅周辺の訪問者数の推移から自粛率を算出することには問題がある。第1に、人々は観測対象地域を避けて、観測対象外の地域に外出している可能性を排除できない。第2に、どの地域の居住者が外出を自粛していないのかが不明である。これらの問題を解決するために、ドコモの携帯電話、約7800万台の基地局情報から推定されたリアルタイム人口分布を利用して、住宅地からの「外出者数=昼間人口-夜間人口」を見積もり、各地域の住民の「自粛率=1-(ある日の外出者数)/(平常時の外出者数)」を見える化する。日本全国で、自粛率の地域格差は非常に大きく、地域の実状に合わせた自粛要請が必要である。

*本ページ最下部の付録では、コロナウイルス感染者数と自粛率との関係についても示す。



1. はじめに

 2019年末に中国の武漢で発生したコロナウイルス感染症は、またたく間に、世界中に広がり、現在(2020年4月18日)までに、全世界で200万人以上が感染し、15万人以上の命が失われている。このパンデミックを止めるために、世界各地(武漢、 イタリア、 インド、 マレーシア、 ニュージーランド、 フィリピン、 シンガポール、 イギリス、 アメリカ、 インドネシア、 フランス等)で外出禁止令が発動された。日本においては、4月7日に政府が7都府県を対象として緊急事態宣言を出した。安倍首相はコロナウイルスの感染予防のために、人と人との接触機会を、最低7割、極力8割削減するよう呼びかけた [1]。そして、4月16日には緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大された [2] 。それらの中では、不要不急の外出を自粛するよう、積極的に家にいるように国民に対して強い要請がなされている。

 政府は自粛の達成率を見える化するために、携帯電話の位置情報などをもとに、人の流れの増減を示すデータを、内閣官房の「新型コロナウイルス感染症対策」に関するホームページ上に日々掲載している [3] 。具体的には、人の流入の多い地域である、中心市街地やターミナル駅周辺における昼間人口について、平常時からの削減率を表示している。しかしながら、流入の多い地域の様子を観測することで自粛の達成率を測ることには問題がある。第1に、人々は観測対象地域を避けて、観測対象外の地域に外出している可能性を排除できない。例えば、最近では週末の渋谷や新宿で人影がまばらな一方、各地域の商店街は混み合っていると言われている。外出する場所がこのように変化してしまうと繁華街の定点観測は意味を持たない。第2に、どの地域の居住者が外出を自粛していないのかが不明である。居住地ごとの自粛度合いがわからないので、政府の自粛要請は地域によらず一律である。既に積極的な自粛を実行している地域の住民にとっては過剰な要請になる一方、自粛の足りていない地域の住民に対しては過小な要請となっている可能性がある。また、各地域の住民からしてみれば、自分たちの自粛が十分なのかを知ることができず、これが各地域の住民の自粛のインセンティブを弱めている可能性がある。これらの問題を解決するためには、地域ごとに住民の外出の自粛率を定量化する必要がある。

 人々の自粛の度合いを計測するいくつかの手法が検討されている。例えば、消費者の購買履歴データを用いることが考えられる。渡辺・大森 (2020)は、クレジットカードの取引データを用いて、居住地・性別・年代別に、消費者が外食や娯楽などの支出を通常時に比べてどの程度抑制したかを計測している [4]

 本研究では、「商業地」への人の流入を観測するのではなく、「住宅地」からの流出を観測する。各地域の住民の日々の外出者数を、コロナウイルスの流行が日本において小規模であった2020年1月の平均外出者数と比較することによって、各地域の住民の自粛率を算出する。これによって、感染率との対比で自粛率が低い地域を見つけることができ、その地域の実状に合わせた効果的な自粛要請をおこなうことが可能になる。

 以降の節は、第2節では、本稿で人流を計測するために用いる1時間ごとの日本の人口分布データについて述べる。第3節では、夜間人口と昼間人口を利用して地域の住宅地を取り出す。第4節では、住宅地における夜間人口と昼間人口との差から地域の外出者数を推定し、季節調整(週の周期)をしながら平常時と比較することによって、地域住民の自粛率を算出する手法を提案する。第5節では、自粛率の推定例として、関東各地の自粛率の推移と、北海道における緊急事態宣言直後の週末である3月1日と東京で降雪があった3月29日、全国に緊急事態宣言が拡大された直後の平日における全国各地の自粛率を、それぞれ示し。自粛率と出来事の関係、地域間の自粛率の格差について述べる。第6節は、まとめと今後の課題である。


2. 流動人口ビッグデータ

 株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが提供する国内人口分布統計(リアルタイム版)モバイル空間統計® [5] を利用する。モバイル空間統計は、約7800万台のドコモの携帯電話から推計された日本における1時間ごとのリアルタイム人口分布である。このような人口分布は流動人口と呼ばれている。各地にある携帯電話の基地局は周期的に、地域内にある携帯電話を把握しており、ドコモの携帯電話加入者の年齢(15歳から79歳)や性別、居住地区(最小市区町村)、各地域のドコモの市場シェアを加味して、日本のあらゆる500m四方の15歳から79歳までの流動人口(500mメッシュ流動人口)が推計されている。ただし、数人程度の少人数メッシュは個人情報を保護するために取り除かれている。データには、日本を500m四方で分割したときの各場所の位置情報、その場所における年齢別や性別、居住地区(市区町村大字レベル)別の流動人口が、1時間ごとに収録されている。本研究では、2020年1月6日(月)から2020年4月19日(日)までのデータを使って分析した。


3. 住宅地の抽出

 国勢調査では日本全国の常住地での人口分布を調べている。多くの人は、深夜は自宅で過ごすため、夜間人口とも呼ばれている。一方で、昼間、多くの人々は自宅を離れて会社や学校等に出かける。この昼間の人口分布、昼間人口も、国勢調査では通勤・通学先の集計値を夜間人口に反映させることによって算出している。夜間人口と昼間人口の比率は、昼夜間人口比率と呼ばれており、川崎市宮前区 (0.74)、さいたま市南区(0.76)、横浜市青葉区(0.77)など都心部のベッドタウンでは昼夜人口比率0.8以下になっていることが報告されている [6]

 国勢調査は5年に1度の調査であるため、リアルタイムに夜間人口と昼間人口を知ることができない。従って、総務省統計局では、携帯電話の基地局情報、及び、スマートフォンアプリによって集められた利用者のGPS情報を用いて、国勢調査が実施されていない5年間の空白を補完することが可能か、調査検討がおこなわれている [7] 。 その調査では、国勢調査と同じ年の、基地局情報やGPS情報から推定された東京都の各地の流動人口を、国勢調査の夜間人口や昼間人口と比較している。1時間ごとに算出される流動人口には、はっきりとした24時間の周期性が存在する。しかしながら、深夜0時から5時までと、朝9時から夕方17時までは、比較的各地の流動人口が安定しており、前者が夜間人口と、後者が昼間人口と近い値をとることが分かっている。

 これらの先行研究を応用して、各地域にある住宅地を見つける。モバイル空間統計に収録されている、深夜0時から5時までと、朝9時から夕方17時までの500mメッシュ流動人口から、東京都の各500mメッシュについて、2020年1月(6日から31日まで)の平均的な昼間人口と夜間人口を算出した。図1は、2020年1月の東京都の各500mメッシュにおける、昼間人口と夜間人口との関係を表している。破線は、「昼間人口=夜間人口」を表しており、もし、東京都民全員が昼間に自宅から外出しなければ、この破線にぴったりと乗る。実際、東京都が週末の不要不急の外出の自粛を強く要請し、かつ、季節外れの雪が降った2020年3月29日(日曜日)の昼間人口と夜間人口との散布図では、図2に示すように、点の多くは破線に乗っている。


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図1 2020年1月の東京都の各500mメッシュにおける、昼間人口と夜間人口との関係


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図2 2020年3月29日の東京都の各500mメッシュにおける、昼間人口と夜間人口との関係



 平常時において多くの人は外出するために、破線から離れる。破線から上部にずれる地点(500mメッシュ)は、「昼間人口>夜間人口」を表していおり、図3のような銀座や新宿などの繁華街や、大手町や霞ヶ関などのビジネス街が該当する。一方、破線から下部にずれる地点は、「昼間人口<夜間人口」を表しており、図4のような郊外のベットタウン、高島平団地や多摩ニュータウン、三鷹や豊洲の住宅地が該当する。雪の日(図2)では、多くの人が外出を自粛するため、「昼間人口<0.8×夜間人口」となる地点が、平常時(図1)に比べて圧倒的に少なくなることが分かる。従って、平常時に「昼間人口<0.8×夜間人口」となる地点は、典型的な住宅地であると考えることができる。本稿では、平常時に「昼間人口<0.8×夜間人口」となる地点(500mメッシュ)を住宅地と定義し、そこからの流出の様子を観測する。


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図3 500mメッシュ(533946013)の地点(有楽町駅から南東の地点)。昼間人口3.3万人、夜間人口2,200人。


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図4 500mメッシュ(533942572)の地点(昭島市立拝島中学校から南西の地点)。昼間人口2,000人、夜間人口2,700人。



4. 地域住民の自粛率の算出手法

 全国を500m四方に分割した全ての地点(500mメッシュ)について、平常時(2020年1月6日から1月31日までの平均)において「昼夜間人口比率<0.8」となる地点を住宅地と定義した。ここでは、閾値を0.8と設定したが、0.9や0.7としても分析結果に大きな違いはないことを確認済みである。

 各住宅地(500mメッシュ)の「外出者数=夜間人口ー昼間人口」を見積もり、そして、地域で合算する。例えば、東京都の住宅地の夜間人口は約530万人、平常時の平日では昼間人口は約360万人となり、外出者数は約170万人である。平日、土曜日と祝日、日曜日に分けて、平常時を基準に各日の外出者数を比較することで、地域住民の自粛率を算出する。具体例を用いて、算出手法を示す。東京都の住宅地の休日における外出者数は、平常時が約87万人、雪の日(2020年3月29日)では約36万人であった。つまり、平常時を1としたときの、自粛率(非外出率)は「自粛率=1-(雪の日の外出者数)/(平常時の外出者数)」から、0.59と求められる。つまり、雪の日において、東京都の住宅地に住む人々は平常時の休日との対比で59%の外出自粛をしていた。


5. 2020年1月以降の全国各地の自粛率の推移

 東京首都圏の各地域の住民の自粛率を観測する。図5は、各市区町村大字単位で、自粛率を推計し、2020年1月6日から4月21日までの推移を表示したものである。ここで、第3節の手法により抽出した住宅地の夜間人口の合計が3,000人未満の、千代田区、中央区、新宿区、港区、檜原村などについては、標本数の不足により自粛率が精度良く推定できない可能性があり、自粛率を算出していない(地図上の白塗り地域)。図6は、江東区と足立区、あきる野市、千葉県鴨川市での自粛率の時系列を表す。

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図5 東京首都圏の各地域の住民の自粛率(2020年1月6日から4月21日まで)



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図6 東京都江東区、足立区、あきる野市、千葉県鴨川市の住民の自粛率



 政府による小中高校および特別支援学校の臨時休校要請や北海道知事による独自の緊急事態宣言により、2月29日から、自粛率が2割程度に高まったことが読み取れる。桜が満開になった3月20日と3月21日、自粛率はゼロ近くまで低下した(つまり、平常時とさほど変わらない外出をおこなった)。それを受けて、東京都は週末の外出自粛を要請し、有名人の死と季節外れの雪の影響を受け、3月29日には都内の自粛率が6割程度まで高まった。しかし、平日の自粛率は2割5分程度の水準にとどまっていた。自粛率は4月7日の緊急事態宣言から急上昇し、江東区においては平日の自粛率は6割、休日の自粛率は8割に迫っている。しかしながら、緊急事態宣言後の自粛率は、東京首都圏全域で上昇が見られるが、地域格差も大きくなっている。郊外に行くほど、自粛率上昇の伸びが鈍いことが分かる。また、平日の自粛率は、足立区では5割、あきる野市では4割、鴨川市では3割にとどまっている。

 次に、都道府県別の住民の自粛率を観察する。図7は、北海道知事が独自の緊急事態宣言を発令した直後の週末(a)3月1日、東京都が週末の外出自粛を要請し雪が降った(b)3月29日、緊急事態宣言の全国拡大直後の平日(c)4月20日の自粛率マップである。図8は、東京都、大阪府市、北海道、鳥取県の自粛率の時系列である。

 都道府県によって、自粛率には大きな差があることがわかる。北海道は、北海道の緊急事態宣言直後から他県に先行し、自粛率は2割(直後の週末では4割)まで上昇、その後は持続的に減少し、4月17日では1割程度に低下している。関東甲信越で積雪が観測された2月29日、東京都では6割が達成できたが、西日本では晴れ渡っており、大阪府の自粛率は3割にとどまっている。4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されたが、17日の自粛率は東京都の5割に対して、大阪府は4割、中国地方や東北地方、北海道においては1割程度しか達成できていない。


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図7 全国の自粛率 左上(a)3月1日、右上(b)3月29日、左下(c)4月20日


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図8 東京都、大阪府、北海道、鳥取県の住民の自粛率



6. まとめ

 本研究では、昼間人口と夜間人口との差から地域の住宅地を検出し、住宅地からの人々の外出者数(流出数)を観測することによって、地域住民の自粛率を見える化した。中心市街地やターミナル駅周辺への訪問者数(人々の流入数)を観測することで自粛の達成率を測ることには問題がある。第1に、人々は観測対象地域を避けて、観測対象外の地域に外出している可能性を排除できない。第2に、どの地域の居住者が外出を自粛していないのかが不明である。これらの問題を、住宅地からの外出者数を用いて地域の自粛率を定量化することで解決できる。本研究では、住宅地からの外出者数を観測しているため、第1の問題である中心市街地やターミナル駅以外への外出、例えば、江ノ島や戸越銀座商店街などへの外出も、自粛率に反映させることができている。第2の問題についても、各地域の住民の外出者数を直接的に観測しているため、どの地域の自粛率が低いのかが分かる。これによって、日本全国で、自粛率の地域格差が非常に大きいことが明らかになった。政府の自粛要請は地域によらず一律であり、既に積極的な自粛を実行している地域の住民にとっては過剰な要請になる一方、自粛の足りていない地域の住民に対しては過小な要請となっている可能性がある。このように狭い地域レベルで自粛率を見える化することによって、市区町村長は、自身の地域の実状に沿った自粛要請が可能になる。さらに、各地域の住民は、自分たちの自粛が十分なのかを知ることができるようになり、これが各地域の住民にとって、自粛のインセンティブになる。

 スマートフォンアプリの利用ユーザーから提供を受けたGPS情報では、多くて数十万ユーザーの位置情報であり、人口の少ない住宅地からの外出を観測するのは困難である。一方で、基地局情報を用いたモバイル空間統計は、約7800万台のドコモ携帯の位置情報であり、人口の少ない住宅地からの外出者数を観測することが十分に可能である。本稿では、自粛率を市区町村大字単位で、集計して示したが、技術的には、全国の全ての住宅地点(500mメッシュ)について自粛率を算出することが可能である。空間的な解像度を高くすると、自粛率の低い地域を詳細に把握し、自粛要請が容易になる一方で、地域差別が発生する可能性がある。本手法を用いて、地域住民の自粛率を見える化する場合には、地域の差別が発生しないように空間的な解像度や情報公開に配慮が必要である。


謝辞

 本研究の一部は、科学研究費補助金19K22852、16H02872のサポートを受けている。本稿で用いた国内人口分布統計(リアルタイム版)モバイル空間統計®は株式会社ドコモ・インサイトマーケティングから提供を受けました。感謝を申し上げます。


参考文献

[1] https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0407kaiken.html(2020年4月20日アクセス)

[2] https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/16corona.html(2020年4月20日アクセス)

[3] https://corona.go.jp/(2020年4月20日アクセス)

[4] 渡辺努、 大森悠貴。 新型コロナ感染拡大に伴うサービス消費自粛の度合いをクレカ取引データから推計する方法。 2020年4月14日。
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/jcbconsumptionnow.com/News/20200415_Nowcast_Watanabe.pdf(2020年4月20日アクセス)

[5] 国内人口分布統計(リアルタイム版)モバイル空間統計®

[6] 総務省統計局、 平成22年国勢調査最終報告書 「日本の人口・世帯」

[7] 菅愛子、 飯島信也、 兵頭大史、 藤原直哉、 水野貴之、 松本裕介、 武藤杏里、 瞿雪吟、 伊藤武真、 松井伸司、 五十嵐盛仁、 上田聖。 東京都における流動人口データの有効性の検証。 総務省統計委員会担当室ワーキングペーパー、 2019-WP03、 2019。


注釈

「モバイル空間統計」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。図3と図4については、Geosense Inc。のGeocode Viewerを用いて表示。図5の行政区画の情報については国土交通省「国土数値情報 ダウンロードサービス」より引用。



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付録


質問1 感染者数と自粛率には関係がありますか?


回答1

 はい。図9で示すような対数関数に従う関係があります。ここから、東京都や神奈川県、島根県は感染者数に対して自粛率は高くなっています。一方で、北海道、沖縄県、宮崎県、鹿児島県は感染者数に対して自粛率は低めです。


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図9 各都道府県の感染者数と自粛率の関係


質問2 感染者数と自粛率の関係を時系列(チャート)で見せてください。


回答2

 はい。図10のようになります。東京都での現在の傾向ですと、1日あたり1,500人程度の感染者が出る状況だと自粛率は8割(0.8)に達します。


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図10 自粛率と過去2週間の新規感染者合計の推移(東京都、北海道)


質問3 内閣官房の「新型コロナウイルス感染症対策」に関するホームページ上に日々掲載されている人流の減少率よりも、本稿の外出の自粛率が低いのは何故ですか?


回答3

 人々が繁華街を避けて外出しているからです。図11は、(a・左)外出先を限定しない(本稿の)外出の自粛率と、(b・右)繁華街への外出の自粛率を表しています。人々は繁華街を避けて外出しているため、(a)に比べて(b)は0.1程度高い自粛率となります。

 なお、繁華街は平常時に「昼夜間人口比>1.5」となる500mメッシュと定義し、夜間に対して昼間に増加した流入者数を居住地区別に集計しています。居住地別の流入者数について、4月26日と1月の休日の平均とを比較することにより、繁華街への自粛率を算出しています。


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図11 (a)外出先を限定しない外出の自粛率        (b)繁華街への外出の自粛率